ビル設備管理(ビルメンテナンス)の仕事は、資格がとても重要になります。
建物内の幅広い設備に関わるので、必要になってくる資格の数も多いんです。
僕も初めてビル管理の仕事に就いた時はその多さに驚きました・・・
本記事では、ビル管理に必要な資格について徹底解説しています。また、取得するオススメの順番もまとめています。
こんな方にオススメの記事です。
- これからビル管理業界に転職を考えている
- ビルメンテナンスってどんな資格が必要か気になる
- どの資格から順番に取得すればいいのか知りたい
それでは早速、ビル管理にはどんな資格が必要になるのか具体的に見ていきましょう!
ビル管理(設備管理)に必要な資格
ビル管理の仕事は、建物のあらゆる分野に関わるので資格の範囲も膨大です。
また、ビル管理業は年々多様化傾向にあり、必要な資格は増加しています。具体的に分野ごとに資格を見ていきましょう。
電気系
- 電気主任技術者(第3種~1種)
- 電気工事士(第2種~1種)
熱源系
- ボイラー技士(特級、1級、2級)
- 冷凍機械責任者(第3種~1種)
消防設備関係
- 消防設備士(特類、1~7類)
- 第1種消防点検資格者
- 第2種消防点検資格者
省エネルギー
- エネルギー管理士
- エネルギー管理員
ビル管理
- 建築物環境衛生管理主任技術者(ビル管理士)
施工管理技士
- 電気工事
- 建築
- 管工事
- 土木
危険物
- 危険物取扱者 甲種
- 危険物取扱者 乙種4類
こんな感じで、ビル管理に必要な資格は分野ごとにたくさんあります。
しかし、これらを全部取る必要はありません。たくさんある資格の中でも、特に必要な資格が8個あります。
インターネット上では【ビルメン8点セット】と呼ばれる資格です。
ビルメン8点セット
- 危険物取扱者 乙種4類
- 2級ボイラー技士
- 第2種電気工事士
- 第3種冷凍機械責任者
- 消防設備士 4類
- 建築物環境衛生管理主任技術者
- 第3種電気主任技術者
- エネルギー管理士
上記の8つの資格が、ビル管理の仕事では特に重要な資格です。全て取得できたら、資格としては十分過ぎるくらいですね。
ビル管理の仕事に就いたら、是非ビルメン8点セットを目指しましょう!
次にどの順番で資格を取得していくのが良いか解説していきます。
資格取得のオススメの順番
上記で解説しましたが、ビルメン8点セットが特にビル管理に必要な資格です。
このビルメン8点セットはさらに細分化することができます。
- ビルメン4点セット
- ビルメン3種の神器
ビルメン4点セットは難易度が低く、未経験でも受かりやすい資格です。ビルメン3種の神器はかなり難しいので取得難易度は高めです。
資格取得のオススメの順番は、ビルメン4点セットを先に取得して、余裕がでできたらビルメン3種の神器に挑戦する流れです。
特に文系出身やビル管理がまだ未経験の人はこの流れがオススメです。僕もビルメン4点セットを最初に取得しました。
ビルメン4点セットから取得していこう
ビルメン4点セットとは
- 危険物取扱者 乙種4類
- 2級ボイラー技士
- 第2種電気工事士
- 第3種冷凍機械責任者
上記がビルメン4点セットの資格です。ビル管理の基礎的資格になので、絶対に欲しい資格です。
特に第2種電気工事士は最重要なので優先して挑戦しましょう!
ビルメン4点セットを取得できたら消防設備士の4類を狙うのがオススメです。最近では、ビルメン4点セットと消防設備士の4類を合わせて【ビルメン5点セット】と言ったりしています。
関連記事:ビルメン4点セットってもうオワコンなの?実際取得してみた結果
危険物取扱者乙種4類
危険物取扱者は1~6類まで危険物ごとに資格の範囲が別れているのですが、ビル管理の場合は4類が一番重要です。
4類は重油、ガソリン、灯油などの引火性液体を取扱うことができます。特に重油に関しては、非常用の発電機やボイラーの燃料として使わることがあるので関わることが多いです。
危険物取扱者乙種4類は難易度もそこまで高くないですし、毎月のように試験がおこなわれているので、ビルメン4点セットの中でも最も取得しやすい資格かと思います。
関連記事:【危険物取扱者 乙種4類】独学で合格する勉強方法とポイント|文系必見
2級ボイラー技士
2級ボイラー技士はボイラーを取り扱うのに必要な資格です。ビル管理の定番の資格ですね。
3日間の実技講習と試験合格の両方をクリアすると免状が貰えます。試験自体は比較的簡単なので、取得難易度は高くありませんが、3日間の実技講習が意外と面倒です。3日間連続なので休みの調節などが大変だったりします。
試験に危険物乙種4類の内容が少しだけでてくるので、危険物乙種4類を取得した後に受けるのがオススメです。
第2種電気工事士
第2種電気工事士は、ビルメン4点セットの中でも特に重要な資格です。
蛍光灯の安定器の交換など実務に直結する資格なので、できれば早めに取得を目指したい資格です。
試験は筆記と実技試験があります。筆記の難易度は低いですが、実技試験が結構厄介です。実技試験は、実際に工具を使って電気配線をしていきます。
しかし、しっかり勉強すれば未経験の人でも1発で合格できる資格なので、そこまで難しくはありません。
第2種電気工事士をこれから受験予定の方は下記記事をご覧くださいませ。
関連記事:第2種電気工事士の筆記と実技に1発合格する勉強方法【文系OK】
第3種冷凍機械責任者
第3種冷凍機械責任者は冷凍機を取り扱う為の資格です。冷凍機は建物を冷やすために使う冷水を作り出すのに必要です。
小規模な事業所ではエアコンで室内を冷やすことができるので冷凍機が設置されていなかったりしますが、大型の事業所には設置されていることが多いです。
第3種冷凍機械責任者の試験で出てくる【冷凍サイクル】の知識は、ビル管理の仕事には必須なのでなるべく取得したい資格です。
個人的にビルメン4点セットの中では1番難易度が高いと感じています。試験の回数も年1回(毎年11月)しかないので、落ちたら来年まで受験できないのが辛いです。
名前が長いので、冷凍3種と略して呼ばれることが多いです。
関連記事:第3種冷凍機械責任者とはどんな資格?独学で合格する為の勉強方法と時間
消防設備士第4類
消防設備士は【特類、1~7類】に範囲が別れています。ビル管理の場合は4類が最も重要で、ビルメン4点セットと消防設備士第4類を合わせてビルメン5点セットと呼んだりしています。
消防設備士第4類の範囲は、自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備なので、ビル管理の仕事の中で関わることが非常に多いです。
消防設備士第4類は甲種と乙種に別れています。
- 甲種は工事、整備及び点検が可能
- 乙種は整備及び点検が可能
ビル管理の場合は工事はほとんどおこなうことがないので、乙種で十分かなと思います。
しかし、甲種と乙種の試験内容にほとんど変わりがないので甲種で取得する人も多いです。僕も消防設備士第4類は甲種で取得しました。理由としては、甲種の方が乙種より毎月支給される資格手当が2000円も高かったからです。
関連記事:消防設備士 4類【甲種・乙種】の違いとは|独学で合格する勉強時間と方法
ビルメン3種の神器
ビルメン4点セットと消防設備士の4類を取得したら、ビルメン3種の神器にチャレンジしていきましょう。
ビルメン3種の神器とは
- 第3種電気主任技術者
- エネルギー管理士
- 建築物環境衛生管理主任技術者
上記の3つが、【ビルメン3種の神器】と呼ばれる資格です。ビルメン4点セットとは比べ物にならないくらいの難易度なので、ここで挫折してしまう人もたくさんいます。
特に第3種電気主任技術者とエネルギー管理士は計算問題が大半を占めているので文系にはきつい資格です。
ビルメン3種の神器を全て取得している人はビル管理業界には滅多にいません。大手のビル管理会社の現場責任者でも、全部取得できていないこともあるくらい難しいです。
関連記事:数学が苦手な文系には【ビルメン3種の神器】は茨の道
第3種電気主任技術者
第3種電気主任技術者は電験3種と呼ばれる資格です。
ビル管理の資格の中では、かなりの高難易度です。試験内容もバッチリ計算問題がでるので、数学が苦手な人は苦戦必至です。
しかし、科目合格制度があり3年間で4科目(理論、電力、機械、法規)を合格すれば、免状を貰うことができるのは救いですね。
第3種電気主任技術者を取得すれば、食いっぱぐれの心配がないと言われているので、頑張って勉強して取得する価値はありますね。
電気科を卒業し所定の単位を取得している人は、実務経験を積めば試験を受けないで、認定で第3種電気主任技術者の資格を取得できるケースもあります。
エネルギー管理士
エネルギー管理士は省エネルギーに関する資格です。
電験3種と電験2種の間の難易度の為、電験2.5なんて言い方をされたりします。
難易度がかなり高いので、持っている人はビル管理の世界だと多くはありません。
建築物環境衛生管理主任技術者
建築物環境衛生管理主任技術者は【ビル管やビル管理士】と呼ばれる資格で、ビル管理業界の中でも1番に重要な資格です。受験資格に【実務経験2年以上】という縛りがありますし、ビル管理全体の知識が問われれます。ビル管理士を取得できれば、実務経験を明確に証明できるので転職にも力を発揮します。
ビル管理士は暗記問題が多いので、電験やエネルギー管理士と比べて文系の人でも取っつきやすい資格です。
ビル管理(ビルメンテナンス)の仕事を続けていくなら絶対に欲しい資格がビル管理士です!!
ビル管理(設備管理)の資格一覧
上記で解説してきましたビルメン8点セットの資格だけで、ビル設備管理(ビルメンテナンス)の資格は十分網羅しています。しかし、まだまだ関係する資格がたくさんあるんです。
資格一覧としてまとめましたので、良ければ取得の参考にしてみてください。
電気系
- 電気主任技術者(第3種~1種)
- 電気工事士(第2種~1種)
ボイラー
- ボイラー技士(特級、1級、2級)
- ボイラー整備士
冷凍機
- 冷凍機械責任者(第3種~1種)
消防関係
- 消防設備士(特類、1~7類)
- 消防設備点検資格者(第1種~2種)
危険物
- 危険物取扱者 甲種
- 危険物取扱者 乙種4類
ビル管理
- 建築物環境衛生管理技術者
- ビル設備管理技士(2級~1級)
エネルギー管理
- エネルギー管理士
- エネルギー管理員
施工管理技士
- 電気工事
- 建築
- 管工事
- 土木
電気通信
- AI第1、2種
- DD第1、2種
- AI・DD総合種
建築
- 特定建築物調査資格者
- 建築仕上診断技術者
- 建築設備士
- 給水工事主任技術者
- 建築設備検査資格者
- 昇降機検査資格者
- 建築士(1級、2級)
防災
- 防犯設備士
- 防犯装備士
- 防火管理者(甲種、乙種)
- 防災管理者
- 自衛消防技術認定
- 防災センター要員
- 防火管理技能者
- 警備員指導教育責任者
- 警備業務検定
- 上級救命
清掃
- 建築物清掃管理評価資格者
- ビルクリーニング技能士(1級~3級)
情報系
- ITパスポート
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
マネジメント
- ファシリティーマネージャー
不動産系
- 宅地建物取引士
- マンション管理士
- 管理業務責任者
その他
- 技術士
- 特別管理産業廃棄物管理責任者
- 衛生管理者(1、2種)
- 酸素欠乏危険作業主任
- 蓄電池設備整備資格者
- 高所作業車運転者
- 普通自動車第一種運転免許
ビル管理に関連する資格一覧は以上です。
ビル管理会社によって重視するポイントが変わるので、全ての資格が必要になる訳ではありません。
例えば、宅地建物取引士(宅建)やマンション管理士は、普通のビル管理会社では全く必要がないので評価されませんが、不動産会社を親会社に持つ不動産系列のビル管理会社だと評価されたりします。
東京都ですと、防災系の資格である自衛消防技術認定も必要になってきます。
自衛消防技術認定とは自衛消防技術試験と呼ばれる試験に合格すると貰えます。東京都限定の資格です。
関連記事:自衛消防技術試験とはどんな資格?合格する為の勉強方法と実技対策
また、【巡回】と呼ばれる複数のビルを管理する勤務形態の場合は、運転免許は必須ですね。
関連記事:ビル管理(設備管理)の巡回と常駐の違いを徹底解説【画像付き】
資格手当について
多くのビル管理(ビルメンテナンス)会社は資格取得者に対して資格手当を支給しています。
ビルメン8点セットなどの主要資格については支給されるケースがほとんどです。その他の資格については、各会社の考え方によって変わってきます。
ビル管理会社も様々なので、その会社に合った資格を取得していけば資格手当でどんどん給料が上がっていきます。
資格手当については下記記事で詳しく書いています。
まとめ
本記事では、ビル設備管理(ビルメンテナンス)の仕事に必要な資格について解説してきました。
まとめるとこんな感じです。
- ビル管理の仕事には幅広い資格が必要
- まずは、主要資格のビルメン8点セットを目指そう
- 最初は簡単なビルメン4点セットから取得していくのがオススメ
- 会社によっても必要な資格は変わってくる
ビル管理の仕事はとにかく資格が重要です。
昇給や昇進にも資格が絡んできますし、転職してキャリアアップを狙うにも資格が重要です。また、資格手当が支給されるので日々の月収にも影響してきます。
ビル管理業は他の職種と比べても休日が多いですし、明け休みもあるので空いた時間で資格を取得していきましょう!