ビル設備管理(ビルメンテナンス)の仕事は、現場によって全く違います。
その中でも、【ホテル】はきつい現場としてかなり有名です。
本記事では、ホテルのビル管理の実態について、包み隠さずお伝えしていきたいと思っています。
僕は3年以上ホテルの現場を経験していたので、現場のリアルな声を含めて解説していきます。
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ホテルのビル管理(設備管理)の実態とは
結論から言いますと、ホテルのビル管理はめちゃくちゃきついです。ホテルの規模によっても違いはあると思いますが、他のオフィスビルや商業施設と比較してもホテルはきついです。
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ちなみに僕が勤務していたホテルはこんな感じです。
- 30階越えの超大型ホテル
- 客室700室以上
- 高級レストラン多数入居
いかにも大変そうなこの現場の体験をもとに、ホテルのビル管理の実態について解説していきたいと思います。
夜間作業が多い
ホテルは夜間作業が他の現場と比べて多いです。
夜間もたくさんの宿泊客が泊まっているので、ボイラーや冷凍機などの熱源設備を止めることはできません。また、客室から部屋が暑いor寒いと言ったクレームがくれば部屋まで行って対応しないといけません。深夜でも普通にクレームは来ます。
オフィスビル等ですと、夜間作業がほとんどないので夜はまったりできますが、ホテルはそうはいきません。寧ろ、夜の方が忙しいこともあるくらいです。
日中は営業をしていて入ることができない厨房やレストランでの点検や作業も夜間にやることが多いです。
このようにホテルのビル管理は、夜間でも休まることがほとんどないのできついです。交代で仮眠を取りますが、作業の進み具合やクレームの有無によってはほとんど寝れない日もあります。
客室の修繕が半端ない
ホテルのビル管理は客室の修繕もおこないます。これがかなり大変です。
朝の9:00~10:00くらいになると一斉に宿泊客がチェックアウトしていきます。その後にベッドメイキングや室内清掃が入るのですが、何か不具合があるとすぐに呼ばれます。
- 机がガタガタするから直して
- シャワールームの電球が切れている
- 天井の照明器具の中にホコリがあるから取って
- バスタブの流れが良くないから見て
- 壁紙が剥がれているから綺麗に直して
- お風呂場の大理石が欠けているから補修して
- 網戸が破れたから交換お願いね!
こんな感じで無数の修繕依頼が来ます。雑用係をイメージしてもらえればOKです。
僕が勤務していたホテルは客室が700室以上もあったので、チェックアウトの時間になるとそれは大変です。修繕依頼の電話がバシバシ来ます。
しかも、これらの修繕を効率良くこなさないとホテル側からクレームが来ます。午後になると今度はチェックインの時間になるので、それまでに終わらせないといけないからです。
『もうお客様来てるんだけどまだ終わらないんですか?』、『早くしてください!』こんな感じで急かされるのは日常茶飯事でした。
高級ホテルになると、チェックも厳しいので、修繕が汚いとやり直しさせられることもあります。
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厨房関係のトラブルが大変
厨房関係はとにかくトラブルが多いです。水回りなのでコンセントに水をぶっかけて漏電を起こしたり、冷蔵庫が冷えなくなったりと厄介なトラブルが多いのも特徴です。
ホテルの場合は、この厄介な厨房の数が多いんです。
僕が勤務していたホテルではフルコースのレストラン、寿司屋、鉄板焼き、バー、懐石料理屋など20種類近くのレストランがあり、それぞれに厨房がありました。
厨房が20近くもあると大変です。毎日1件は厄介なトラブルが発生します。客室関係の修繕と違って、厨房機器のトラブルは複雑なものが多いので対応に時間がかかります。
修理できないものに関しては専門のメーカーに依頼するのですが、料理人からは『今使いたいからどうにか直してくれよ!』と無茶ぶりをされることもしばしば。
料理人は職人気質の人が多く、結構きつい言葉を浴びせてくるので、厨房関係のトラブルだけは皆嫌がっていましたね。
他の現場だと絶対にない施設がある
ホテルには、他の現場には絶対にない施設がたくさんあります。
- 宴会場
- 結婚式場、チャペル
- 噴水、滝、川などの水景設備
- 大浴場、温泉
- プール
- ボーリング、ビリヤードなどの遊戯施設
当然これらの施設や設備も点検を行うので、ホテルのビル管理はそれだけ仕事が増えます。
宴会場
ホテルの宴会場では、株主総会や芸能人の記者会見などもおこなわるので、特に空調管理が厳しいです。
株主総会や展示会になると何千人もの人が訪れるので、かなり気を使います。冷凍機の運転時間が遅れただけで大クレームにも繋がるので、ホテルの空調管理は本当に難しいですよ。
結婚式場、チャペル
結婚式場、チャペルもホテル特有の施設です。
チャペルなんかは天井が物凄く高いので、電球交換がめちゃくちゃ大変でした。3mの脚立に乗り、さらにトッカールと呼ばれる電球交換用の伸びる棒を使ってやっと届く高さでした。
また、結婚式場やチャペルは綺麗さが求められるので管理する側としても気を使います。
噴水、滝、川などの水景設備
大型のホテルになると噴水、滝、川などのオシャレな水景設備があります。
エントランスに高々と上がる噴水や懐石料理屋に流れる川などですね。お客さんとして行くとなれば綺麗で素敵ものですが、これらを管理するとなると大変です。
水景設備ごとにポンプや薬液装置がついているので、全て点検するとなるとかなりの時間がかかります。しかも、日中なんかは止めることができないので、点検は夜間におこなうことがほとんどです。
また、噴水や滝の中に入って、枯れ葉や藻を掃除するのもビル管理の仕事です。
大浴場、温泉
大浴場や温泉もホテル特有の施設です。
大浴場や温泉で大変なのが水質と温度管理です。
定期的に残留塩素やpHを測定しにいかないといけません。
朝早くから夜遅くまで営業しているので、その間を見計らって点検をしなければならず、必然的に深夜の時間帯に点検することになってしまいます。
プール
プールも大浴場や温泉と一緒で水質と温度管理が大変です。
特に温度に厳しく、1℃違うだけですぐにクレームになったりします。
プールには、水を綺麗にするろ過装置がついているので、そういった設備の点検を営業終わりの夜間に実施していました。
ボーリング、ビリヤードなどの遊戯施設
大型のホテルになると、遊戯施設も完備されています。
遊戯施設は物が壊されることが多いので、その都度修理依頼が来ます。
深夜営業もしていたりするので、結構面倒です。
まとめ
本記事では、ホテルのビル管理(設備管理)の実態について、実体験をもとに解説してきました。
まとめるとこんな感じです。
- 夜間作業が他の現場に比べて多い
- 客室の修繕が大変
- 厨房関係は厄介なトラブルが多い
- 大浴場、結婚式場、水景設備などホテル特有の施設や設備がある
僕自身、3年以上ホテルのビル管理を経験しましたが、めちゃくちゃきつかったです。ホテルに配属される前は『ビル管理は楽な仕事なのかなー』と淡い期待をしていたのですが、見事に打ち砕かれました。
規模の小さいビジネスホテルでしたら、客室の数も少ないので、ここまできついことはないとは思いますが、超大型ホテルや高級ホテルはやばいです。
インターネット上で『ホテルのビル管理は止めておけ!』と言われているのは納得です。
しかし、ビル管理の知識やスキルはかなり向上します。一度でも大型ホテルのビル管理を経験すれば、他の現場どこに異動してもやっていけるスキルが身に付くと思います。
1~2年ホテルのビル管理を経験した後に、楽なオフィスビルに転職するのが最強の流れかと思います。